‘ベルリン’ タグのついている投稿

Fahr-Info Berlin をめぐる Tohuwabohu

2008年11月7日 金曜日

Fahr-Info Berlin は、以前にも触れたことがあるが、ベルリンの乗り換え案内ソフト。ベルリンの21歳の大学生の、非常に洗練された作品だ。無料。GPS を利用して近くの駅・停留所を表示する機能もあるし、路線図も表示する。これまでに2万回ダウンロードされている。そのソフトに、大幅な機能制限が加えられてしまった。

バージョン1.1.1 の説明には、
Aufgrund einer Beschwerde der BVG mussten sowhol der Übersichtsnetzplan als auch die Detailpläne entfernt werden. Sorry dafür!

とある。ベルリン交通局からのクレームにより、データが使えなくなったということだ。どうやら、残りのベルリン・ブランデンブルク交通のデータしか使えなくなっているらしい。(らしい、と言うのは、ぼくはこの新バージョンにダウングレードしていないからだ。)

iPhone daily の記事 Keine Fahrpläne für Berliner によれば、ベルリン交通局は、Fahr-Info Berlin による運行情報の取得を拒否した。ベルリン交通局の情報は、私的な・非商用目的にのみ許可される。Fahr-Info Berlin は無償で提供されていて商用ではないが、それが App Store で提供されていることは、「私的」ではないという判断になるらしい。

ということは、App Store でしか正式にアプリを提供できない現在の iPhone のシステムが問題なのであって、Jailbreak した iPhone 用に、Cydia 経由かなにかで Fahr-Info が提供されれば問題ないということにもなってしまいそうだ。

さらに元ネタの taz の記事 BVG verbietet iPhone-Programm. BVG が iPhone アプリを禁止。「利用客たちは怒っている」”Kunden sind sauer” という副題が添えられている。開発者のヴィット氏にとっては、BVGがいちゃもんを付けてくることなど思いもよらなかった。このニュースに対するネット上の反応も、「BVG、どうかしてんじゃねーのか?」とか、「やっぱりドイツは俗物と役人に支配された国だってことだ」とかいったもの。

BVG 当局のスポークスパーソン、ペトラ・レーツは、ヴィット氏もAppleも、Fahr-Info Berlin で1セントも稼いでいないのだが、という指摘に対して、iPhone に限らずあらゆるケータイで使えるようなアプリを自前で提供する予定なのだという。

よろしい。それが本当なら、そして無償なら。しかし iPhone 用のプログラミングは、頼むから別にしてほしい。「あらゆるケータイ」向けに開発したアプリをちょこっと iPhone 向けにアレンジしただけの代物がどういうことになるかは、NaviTime の醜態がすでにじゅうぶん証明している。一番いいのは、iPhone 用には BVG が Fahr-Info Berlin を買取るなり、Witt 氏に委嘱するかたちをとるなりして、提供することだろう。(そのような例は、Lightsaber Unleashed でもすでに見られたはずだ。スターウォーズのライトセーバーを模したこのソフトは、いったん App Store から姿を消し、ルーカスフィルム社の正式なお墨付きをもって再登場している。)

いや、やっぱり、「あらゆるケータイ」向けのソフトを出すつもりなら、Fahr-Info Berlin とは無関係にそれはそれでとっとと出せばいいので、Fahr-Info Belrin を禁止する理由など、ない。今回の BVG の判断が、「顧客のため」には少しもなっていないことは明らかだ。

2008.11.13. 追記:taz の記事、VBB statt BVG: iPhone-Fahrplan für Nahverkehr doch erlaubt によれば、Fahr-Info でのデータ利用を禁じた BVG は、利用客に、自前で提供しているケータイ用時刻表検索サイトを使えと言っているらしい。いかにもケータイ用で、iPhone + Fahr-Info が供する使用感にははるかにおよぶべくもない。BVG は愚かだというしかなさそうだ。

そこにきて、BVG ではなく、VBB(ベルリン・ブランデンブルク交通連合)が、Fahr-Info Berlin の全面的な支持姿勢を打ち出したようだ。これにより、ヴィットくんは一二週間内に新バージョンを出すという。

VBB と BVG の関係をきちんと調べていないのだが(ご存知の方はご教示ください)、どうやら BVG は VBB に所属するメンバー、という関係のようだ。taz の記事には、BVG は呆然としているに違いない、自分は iPhone を持っていないが、小気味がいい、といったコメントが付けられている。

VBB も自前の Windows Mobile 用の時刻表サービスを提供していたが、利用者が少なく、打ち切りを考えていた。ところが Fahr-Info Berlin が出た7月、アクセス数が百倍にも急増した。Fahr-Info はこの Windows Mobile 用サイトからデータを読み取っていたからだ。そのためサービス打ち切りは取りやめになった。ヴィットくんと VBB の話し合いでは、VBB 側がヴィットくんに、時刻表データベースへの直接のアクセスを許可したという。また、BVG が使用を禁じたのと同じ(ロゴが BVG から VBB に変わるだけ)路線図も、利用を許可した。BVG ザマミロで、かつひとまずめでたい。

ドイツ語圏関連 iPhone アプリ

2008年8月30日 土曜日

PONS Advanced Dictionary Englisch-Deutsch英和・和英辞典は『ウィズダム』が初期のトラブルを克服して App Store に再登場し、評価が高いようだ。言われているインストール時のトラブルはぼくのところでも再現して、インストール後、他のいくつかのアプリが起動できなくなった。『ウィズダム』をいったんはずして、iPhone を再起動し、『ウィズダム』を改めてインストールしたところ、その後は特に問題は起きていない。

独和や仏和もほしいところだ。EPWING形式の辞書データをそのまま持ち込める iDic は、かつて jailbreak された iPod touch での必須アプリだった。App Store での正式リリースを予定しているようだが、まだ出てきていない。weDict はいち早く無料で App Store に登場した。もともと StarDict 形式の辞書データは何でも読み込めるものだったが、App Store で手に入る weDict に最初から入っているのは WordNet と英語-中国語辞典だけで、辞書の追加は今のところできないようだ。

そんな中、ドイツの定評ある辞書、PONS シリーズが早々に App Store に現れたのは有難い。8月末時点で、以下の4本。各2900円。
PONS Advanced dictionary English-German
PONS Advanced dictionary French-German
PONS Advanced dictionary Italian-German
PONS Advanced dictionary Spanish-German
いずれも、二言語双方向で使える。ぼくは独英英独辞典を入れてみた。悪くない。これらはソフトの開発元 Paragon Software のサイトで詳細を見ることができる。

fahrplan.pngそれにしても、日本の辞書出版社はぼやぼやしすぎ。独和に限定して言えば、D学社なんて、ビジネスチャンスだと思うんだけどな。博×社のあの辞書はそもそもデジタルデータは存在しないだろうなと思うけど。デジタル系に強いような気がするS修社はどうしたのか。中途半端なS省堂は? もちろん漫画家の搾取で名を落としたS学館が手持ちのデータを iPhone 用に出してくれれば一番嬉しい。

fahrplan02.jpg辞書の話はそこまでにしておいて、ドイツにいれば使いたいのが Fahrplan という時刻表ソフト(無料)。ドイツの App Store では、一時期ダウンロード・トップの座にあったようだ。円の中に H のアイコンは、分かる人にはすぐにピンとくるはず(ドイツ語圏のバスやトラムの停留所 Haltestelle の記号だ)。出発時刻が黄色地で、到着時刻が白地で表示されるのも懐かしい。データはネット依存で、ドイツのあらゆる駅の現在時刻前後の時刻表が取得でき、遅延情報も表示される。それどころか、列車だけでなく、バスや市電までカバーしているのだ。さらに、ドイツの、と書いたが、試してみたら、Zürich でも Klagenfurt でも、Paris Nord でも Lyon-Perrache でもデータを出してきた。いったいどこまでカバーしているのだろう。これはなかなかすごい。なお、スイス鉄道に特化した SBB Fahrplan (無料)も出ている。

ベルリンの公共交通情報に限れば、Fahr-Info Berlin (無料)がなかなかすごい。これも、現在時刻直近のベルリンの Sバーン、Uバーン、バス、トラムの時刻を表示し、出発地と到着地を入力すれば「乗り換え案内」的な使い方ができる。さらに GPS とも連動していて、現在地を自動で取得することもできる(ベルリンにいないことには意味がないけど)。

ちょっと特殊なのが Cocktails(無料)。もちろんカクテル・レシピ集。よくできているのだが、これがドイツ語のみ。データはネットから取ってくるようだ。