Adobe AIR を使った英大衆紙 Sun の Desktop Keely が、くだらないけれどよくできている。サン、侮りがたし。
iPhone / iPod touch も、「役に立たない」アプリが楽しい。
iPhone を手にして比較的早くに揃えたのが、iPint (App Store リンク)と iMunchies (App Store リンク)と iWash。こういうくだらないものが実はけっこう好きだったりする。iPint (無料)は、iPhone / iPod touch の画面をグラスに見立て、そこにビールが注がれるギミック。iPhone / iPod touch (以下 iPhone と表記)を傾けると、飲み干されて行くかのようにビールが減っていく。iMunchies (¥350)は、iPhone の画面内でポップコーンがはじけて一杯になり、さらに上から指を差し込んで一つ取り出すアニメーションを表示する。ビールを飲めば当然つまみが欲しくなるわけで、そこで iMunchies が登場するわけだ。ビール同様、iPhone を傾ければざざっとポップコーンが流れ出て、空になる。予め本物のポップコーンを一片、手の中に隠しておければ効果満点だ。そして iWash。iPhone の中でポップコーンを煎ったりすれば当然中が汚れるわけで(ウソ)、掃除しなければならない(ウソウソ)。iWash (4.99ドル)は、ビキニの美女が、iPhone のスクリーンを内側から掃除してくれる、単なるムービーファイル。いずれにしても、iPhone ならではであることは間違いない。iPhone の有用性ではないが楽しさを人に見せるには最適だ。
この iPint をめぐって、訴訟が生じている。iPhone / iPod touch 用の唯一のアプリ販売・配布チャンネルである App Store での問題だが、Apple は当事者ではない。iMunchies の作者でもある小さなデベロッパーである Hottrix は、iPint によく似た iBeer (App Store リンク)というアプリを出していた。その Hottrix が、iPint を出している Coors 社を相手に、千二百五十万ドルの訴訟を起こしたのだ。(出所)
iBeer も iPint も、両者ともに、2008年7月11日に App Store でリリースされている。iPint には、カウンターの上をビールグラスを滑らせて、向こうの端にいる客にビールを届けるというゲームが付属するのに対して、iBeer には「ゲップ」の音──これが意外と賛否両論かまびすしいが、設定でオフにできる──が付いているという違いもある。iBeer は、iPhone を振ると泡が増える。本当のビールなら泡が減りそうだが。泡の表現力は、iBeer の方が上出来であると思う。また当然、iPint にはビール会社のロゴが入っている。
だが一番の違いは、iPint が無料で、iBeer が3ドルの有料だという点だ。iBeer 側は、iPint は、iBeer の盗用で、iBeer の販売機会を損なったとして訴えているわけだ。リリースは同時だったが、iPhone のモーションセンサーを利用した iBeer のアイディア自体は、すでに App Store がオープンする1年近く前の 2007年8月に YouTube に動画でアップされており、それが iBeer が先行する証拠であると同時に、iPint はそこから盗用したのだ、ということらしい。つまり iBeer が iPint に似ているのではなくて、iPint が iBeer に似ているのだ、ということだ。
iBeer 側の訴えに、Apple は、アメリカの App Store からは iPint を消した。が、日本を含めて他の各国の App Store からは、iPint は相変わらずダウンロードできる。そのためか、Hottrix は訴訟に踏み切った。訴状は、Coors のほかに、米国外での iPint マーケティングにかかわっているBeattie McGuinness 社と DOES 1 to 10 社も訴えている。
どっちみち、「役に立たない」アプリではある。いや、自分のもっているiPhone を人に見せて、ちょっと面白がらせるには最適なアプリだし、「飲みに行こうや」てな感じで人を誘うときにも「役に立つ」。(Hottrix は、もう一つ、同工異曲の iMilk も出している。)
日本の App Store でのユーザーレビューでは、無料の iPint を持ち上げて iBeer をクサすものが目立つ(これも、あるいはこれこそが、Hottrix が怒った直接の理由かもしれない)。ユーザー側からすれば、無料のほうがいいに決まっている。しかし iPint が本当に iBeer の盗用だとすると、これはちょっと問題だ。Coors 社にとっては、相当な額であろう宣伝費の一部を割いたプロジェクトにすぎないが、Hottrix にとっては重要な収入源。訴訟の行方はぼくにはまったく見当がつかないが、おいおい、Coorsよ、盗用はダメだぜ、しかし Hottrix よ、千二百五十万ドルというのはちょっと張り過ぎだろ、という声もある。
ただ、iBeer の3ドル(¥350)というのは、App Store の中では、このアプリにしては少し高すぎるのではないかという気がする(だから同額の iMunchies を購入するときにも少し躊躇があった)。App Store での有償最低額である 99 セント/115円が妥当なところではないか。
実は、まったく話題にならないが、App Store にはもう一つ似たようなアプリが出ている。dBeer(App Store リンク)。10月2日付けの明白な後発。これも無料。DISTI というソフトウェアハウスのプロモーション。グラスのDISTI社ロゴが数種類から選べたり、普通のビール、黒ビール、緑色のソーダが選べるというあたりが特長だが、グラフィックは他の二者に劣る。ここも小規模なようだし、dBeer は App Store の「エンターテインメント」カテゴリの中で埋もれている感じだからか、Hottrix は特に問題にしていないようだ。
やはり App Store に出ているもので、よく似た名前の iBeers (¥230) は、世界各国2700種以上のビールのデータベース。少し安い iBeers Lite (¥115) もあるが、違いがよく分からない。
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