便利な曲

プレーヤーにとって便利な曲というのがある。たいしたことがなくても超絶技巧に聞こえる曲というのはその一つだろう。ヴァイオリンではその代表格がチャルダッシュあたりだと言えるかもしれない。モンティの原曲は本来はマンドリンの曲だそうで、マンドリンでやったらどうなのかはぼくにはわからないが、これに対して、ものすごく難しいのに、聴くと地味な曲というのは、ショーアップしたいプレーヤーには当然ありがたくない。クラシックではどちらかと言うと後者のほうが多いような気がする。

だからレパートリーとしてまず最初にチャルダッシュを持ってくるヴァイオリニストに出会ったら、眉に唾をつけていい。チャルダッシュでぼくが思い出すのは、スロヴェニアのノヴァ・ゴリツァのカジノ・ホテルのレストランだ。

そこに来ていたヴァイオリニストというか、「楽士」という名がぴったりだと思うのだが、彼が披露していた曲の一つがチャルダッシュだった。かなり年配のプレーヤーで、チャルダッシュでも「省略」している音が少なくなかった。それでも「聴ける」んですよ、あの曲なら。そういう曲なんです。

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