ヨーロッパに出かけたときには、よく靴を買う。ファッションのことはあまり知らないし、ブランドもたいして気にしてこなかったし、手入れに気を使うわけでもないのだけれど、これまでドイツで自分用に買った靴はたいていイタリア製だったと思う。

自分の靴よりも、サイズがどんどん大きくなる子供たちのための靴を(一人で行ったときは「お土産」に)買って帰ることが多い。ドイツだと、安心して買えるのは Elefanten とかイタリアの GEOX とかといったブランドの子供靴。日本で売られている靴は、特に子供靴がひどい。いろいろなキャラがついていたりするのは好き好きとしても、「歩く」ことは考えられていないへろへろべこべこなものがあまりに多い。もちろん小さな子供は究極マンだのムシ王だのごめんライダー鼾だのに魅かれる。でもそういうのが付いた靴とまともな靴を履き比べさせると、ちゃんとまともな靴のほうを選ぶから面白い。履き心地がまるで違うのだ。今回、子供たちの靴は、帰国直前に、ツァンカル通り Cankarjeva cesta のシュティーフェルケーニヒ Stiefelkönig (名前から分かるようにドイツ系)の店で GEOX のものを買った。
子供たちには GEOX の靴を買ったが、自分用にはスロヴェニア製の靴。ペコ Peko というメーカーだ。

直営店だか特約店だかをスロヴェニアのどこの町にも置いていて、リュブリャーナでも何軒か、たとえばチョプ通りのプレシェレン広場寄りにも一軒。3年前ぐらいにマインツ(ドイツ)で買ってほとんど履きつぶした状態のイタリア靴を捨て、そこで1足買った。かなり薄い感じの革を使った靴なのだけれど、とても具合がいい。これまで、紐付きの革靴は、とくに日本製のものは、紐を結んだり解いたりしたためしがなかった。無理やり、あるいはせいぜい靴べらを使って足を押し込んで事足りていたし、脱ぐときは強く引っぱればよかった。でもこの Peko の靴は、いちいち紐を解いたり結んだりしているし、そうしないことにはどうにもならない。そしてそれが本来だよなと納得させられる。
靴底はつるつるの革のままになっていて、靴底張り専門の店へ客が自分で持っていって張ってもらうことになる。そういう店がたいてい合鍵屋をかねているのは日本と一緒。このときは、近くの例のアルカイックな「デパート」、Centromerkur の鍵屋に行って靴底を張ってもらった。

Kamnik に残っていた「リュブリャーナ煙草」の看板
Peko の本拠地は、リュブリャーナ近郊のトゥルジン Tržin にあるらしい。こういうメーカーが元気なのは、べつに僕がスロヴェニア・ナショナリストになる必要はないけれど、なんだか嬉しい。独立後のスロヴェニアでは、ネイティブの会社がずいぶん消えた。たとえばリュブリャーナ煙草会社は、オランダかどこかの会社に買収されたあと、早々にうち捨てられて消滅した。今回、時間の止まったカムニクの街角で、その看板を眼にしてびっくりしたくらいだ。
今回はというか今回も、自分用にももう一足靴を買っている。山靴だ。スロヴェニアに行けばボヒン周辺などで山歩きをすることになる。日本から山靴を履き、軽い靴は荷物のほうに入れて飛行機に乗るというケースも多いけれど、これまでの何度かは、スロヴェニアに行ってから山靴を買った。それもたいていは首都リュブリャーナではなくて、山地のボヒンスカ・ビストリツァに行ってからだ。今回もそうだった。そこで買う山靴は、 Alpina 社のものが多い。スロヴェニアの登山靴メーカー。ここも最近は経営が苦しいようだけれども、モノに間違いはない。
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