リュブリャーナの南方に広がる湿地の真ん中に立つ聖ミハエル教会 Sv. Mihael。これもプレチニクの作品。

素人目にも、とてもユニークな教会建築。1階は司祭の住居で、建物正面の長い階段が2階の教会堂に導く。


教会の内部。西側に配されたオルガン席が見える。
写真右が祭壇。
四隅に石とレンガを積んだ壁を立て、中央には人造石(コンクリート)の太い柱を4本×2列。間を板で埋め、前後の柱4本は中からも内からも見えている。完全に建物の内部に立つ4本の柱には、それぞれに異なった文様が描かれている。間々には細い木の柱も何本も配され(その柱頭部にも独特の彩色が施されている)、それで木の梁と屋根を支えている。木の扱いは、スロヴェニアの民俗的な木工の伝統を意識して取り入れているのだが、その空間は、Peter Krečič が書いているように、ヨーロッパの教会というよりは日本のお寺を思わせる。

背面。
祭壇はこの横長の長方形の身廊の中に入り込んだ形で配されている。外から見ると、その背後には丸く突き出し、半ばツタに覆われた石造りの部分があるのだが、ここは1階の司祭居室とつなぐ階段が入っているらしい。おそらく厨房もあるのだろう、正面からは目立たない煙突から湯気が上がっていた。

正面階段と鐘楼
しかし何よりユニークなのはその鐘楼だろう。有り体に言えば、「内部」を持たない石積みの壁に穴をあけ、屋根を載せただけのもの。鐘楼の裏手左側から鐘楼に開けられた「穴」を通って、狭い階段が正面側を斜めに登っている。それはもう一度穴をくぐり、鐘楼裏側を登って、上部中央の一番大きな「穴」に吊るされた鐘のところに到る。

鐘楼を真横から見る。
正面階段を上がってきた人々は、この鐘楼の下に開けられたアーチをくぐって会堂の扉を開け、中に入ることになる。
規模は小さく、建材には安価なものが用いられて、明らかに、限られた予算で、本来仮の建築として造られたものだが、「限られた予算」とプレチニク的な「才能」が遭遇するとこんなものができてしまうという、きわめて印象深い例だ。リュブリャーナ市内から半日、ちょっとでかけるだけの価値はある。「民俗的な、ほとんどこどものような敬虔さへのプレチニクの感覚が表現された、プレチニク建築の好例」(Peter Krečič)。
参考: Peter Krečič “Das Ljubljana von Plečnik” Ljubljana: Cankarjeva založba, 1991.
この教会へは、市バスで、つまりジュトン一個で行ける。19番で終点 Barje (=湿地)下車。終点のバス停はここでもループになっている。すぐ後方の十字路を突っ切って、まっすぐな道を500メートルのところ。
Google Earth 用 KMZファイル

氷の花
ちょうど数日前の大雪であたりは真っ白。周りは湿地で、水路が縦横に走っている。教会まで行く道の両脇にも水路がある。その凍り付いた水面に、湿地の霧と低温の賜物だろう、こんな氷の花が無数に「生えて」いた。
こんにちは。今朝はちょうどここへお連れしたいな、と思ったら既にその場にいらしたのでかなりびっくりしました。私をこの教会へ連れて行ってくれた友達は「なにしろ縦と横が反対になってる教会なんだよ」と言っていて実際見るまで何を言っているのかよく分からなかったのですが、確かに、その通りかも・・・面白い建築物ですがその在り方はぽつりとしていてそっけないですよね、なんだか。
あの電話の会話は傑作でしたね。「いま、そこにいるんです。」
横幅が広い教会というのはままあると思います。以前にここで触れたアルザスの教会もそうですし。
ぽつり、はそうですね。周りのまばらな集落の人々の生活と、どういうふうに結びついているかは興味深いところです。