文化の日、ショッピングの日、スロヴェニア国歌

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そう言えば、昨日は、「スロヴェニア文化の日」、フランツェ・プレシェレンの命日で、祝日なのだった。前のエントリで、いかに「国民的詩人」ではあれ、その命日が「国民の祝日」になっている例はそうあるまい、スロヴェニアにとっていかに文学が重要か、という、まあ、クリシェ的と言えばクリシェ的な認識を記しておいたのだけれど、そしてそれはあくまでも事実なのだけれど、現実はそこに尽きるものではない。

ここには三つの条件が揃っている。

  • 周辺諸国と地続きである。
  • ヨーロッパのことで、週末や祝日はどこも店は閉まってしまう。
  • 周辺国も大方はカトリックで、たいていの祝日は宗教がらみで共通だが、この祝日はスロヴェニアのみという例外的なケース。

となると、どうなるか。

そう、この日はスロヴェニア人にとってオーストリアやイタリアへ、国境を越えてのショッピングに出かけるチャンスなのだ。上の三条件は、日本では考えられないので、僕も当日になるまで気づかなかった。

国境を越えてショッピングにでかけることがよくあることは分かっていた。スロヴェニアがまだ独立間もない頃、オーストリア側のケルンテンのブライブルクのようなちっぽけな街に、スロヴェニアからの買い物ツアーの大型バスが停まっていたのを見たことがある。さすがにそこまでのことは近年は行われなくなっているようだが(いや、今でも、国内の旅行会社は、たとえばトリエステへの「お買い物バスツアー」を企画している)、とにかく、隣国でのショッピングは日常的なことだ。ヨーロッパ中に店舗を持つ大手家具チェーンの IKEA は、まだスロヴェニア国内には出店していないが、オーストリア側の支店のチラシを入れてくる。

nakupi_trst.jpgトリエステ Trst で安いお買い物。ある旅行会社のウィンドウに貼ってあった広告。下の Moje pesmi, moje sanje 私の歌、私の夢、というのは、「サウンドオブミュージック」のスロヴェニア語版タイトルらしい。「サウンドオブミュージック」ツアーだ。

しかし、仕事を持つ人が、平日に国境を越えて買い物に行くのは、いくら朝が早く退社も早いスロヴェニア人たちと言えども、あまり余裕が持てない。そして、イタリアの事情は詳しくないのだけれど、オーストリアは週末には店という店は閉まっていて、週末に買い出しに行くことは不可能。

ということで、スロヴェニアだけ祝日で周辺国がそうではないという日は、国外ショッピングの日、になってしまうのだった(もちろんスロヴェニア人全員がそうするというわけはないけれど、少なからぬ人にとってそういう意味のある日となっているらしいのだ)。プレシェレンは何と言うだろうか。いや、国歌にもなっている彼の「乾杯の歌」にある通り、「諸国民はもはや敵ではなく、隣人」であるので、そのおつきあいにはまず売ったり買ったりして、それから乾杯するのがよいのであろうことは言うまでもない。(相手が酒類を禁じられている人だったらダメだけど。)

英訳:

God’s blessing on all nations,
Who long and work for that bright day,
When o’er earth’s habitations
No war, no strife shall hold its sway;
Who long to see
That all men free
No more shall foes, but neighbours be.

原文:

Žive naj vsi narodi
ki hrepene dočakat’ dan,
da koder sonce hodi,
prepir iz sveta bo pregnan,
da rojak
prost bo vsak,
ne vrag, le sosed bo mejak!

ちなみに、スロヴェニア共和国のPRサイトでは、この国歌の伊・英・独・仏・西語、ハンガリー語訳とともに、曲のサウンドデータやスコアも手に入る。

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