
かなり前のエントリで、ダマエ・ラーメンなるものに触れた。昨夏、スロヴェニアに来る直前で、そのときはThe Glory of Carniola の記事を元ネタにしたのだが、リュブリャーナではこのラーメンが案外目につかなかった。今回来てから半年も経って、スーパーMercator Centerで見つけた。Center という名前は、おそらくこのチェーンの一番大きな店舗という意味であって、立地はやはりリュブリャーナの町外れ。ゴレンスカ方面に向かう幹線道路沿いの郊外型大型店。バスなら1番、15番、16番で Trata 下車。リュブリャーナにお住まいのラーメン好きの日本人や日本通のかた、あそこに行けばありますよ。
メーカーはドイツの日清食品。生産地はオランダ。

The Glory of Carniola が写真付きで指摘していたように、各国語の調理法説明の中で、なぜかスロヴェニア語版だけが水500mlのところ1Lになっていたのだが、見られる通り、それはすでに訂正されている。しかしもともとの包装には “DEMAE” ラーメンとはっきり書かれているのに、このスロヴェニア語で貼付された説明書では相変わらず “DAMAE” となっているのが不思議。
それはともかく、やっぱり japonska juha z rezanci 「ヌードル入りの日本のスープ」という「翻訳」には問題があるように思う。友人のBといろいろ話していたのだけれど、あえてこういう形で説明的に言うなら、japonski rezanci v juhi ではないか、ということだった。スープに入った日本のヌードル。ただしスロヴェニア人にはこれでは何のことかピンと来ないので、さらに言葉を費やした説明が必要になるだろうという。
スロヴェニアでおそらく最もポピュラーなスープは goveja juha z rezanci、ヌードル入りのビーフスープ。goveja juha s testeninami とも。つまり、ラーメンを juha z rezanci だとする説明は、これと同一視している/させているわけだ。
(出典)
クノールやマギーといったメーカー製のインスタントものも出回っている。

これは確かに一見ラーメンに似ていて、われわれにとって食しやすいものでもある。
そして、ラーメンを juha z rezanci だと言ってしまうのは、スロヴェニア人にとっておそらく「分かりやすい」。すぐにこのビーフスープが思い浮かぶはずで、だからだいたいどんなものか分かるからだ。しかしあくまでも「だいたい」であって、問題は、微細で決定的な違いにある。ラーメンの麺と汁の間には、微妙な身分の差がある。ラーメンの場合、汁も全部飲んでほしい、というようなラーメン屋の親爺もいそうだが、あくまでも主体は麺であって、汁=スープは残すのが普通だろう。特に塩分の取り過ぎを心配する人は残すはずで、通常はそれでいっこうに構わないのだ。スープが重要でないわけではなくて、ラーメンの味を大きく決定するものではあっても、その味によって「麺を食べる」のがラーメン、あるいはそば、うどんといった日本の麺類なわけだ。だからラーメンでの麺に対する汁の位置は、西洋料理で言えばスープというよりは「ソース」に近い。
ところがヨーロッパのスープというのは全体として一体であって、彼らはそもそも子供の頃から「ちゃんと全部食べなさい」と躾けられるわけだ。(日本でこれに近いのはだから味噌汁。それゆえ、味噌汁はミソ・スープで問題はない。)であるから、ラーメンを juha z rezanci であると言った場合には、彼らはスープまで一生懸命飲もうとするわけだ。それで、日本のスープは味が濃すぎる、というような感想を漏らす人も実際いるらしい。だからこそ、このダマエ一丁のスロヴェニア語説明文では、水の量が倍になっていたのではないだろうか。スロヴェニアのみなさん、ラーメンスープは飲み干さなくていいんですよ。残していいんです。
追記:その後、ダマエ一丁(とカップヌードル)は、リュブリャーナのど真ん中、中央郵便局向かいのNAMA地階の小さな食料品売り場にも置かれていることが判明。わざわざ Šiška まで行かなくてもよくなりました。
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そう、店でも、日本で普通に言う温麺の蕎麦やうどん、なんのカテゴリに入れればいいのかと悩みました。まだはっきりとこっちの人は理解してないでしょう(あらゆる事を!)。ダマエイッチョウの1Lの事は知りませんでしたが・・・びっくり&妙に納得。まだ先は永そうです。
例の店『トリグラウ』は Ramen juha といって出していましたね。オーナーが替わってやめてしまったようですが。
たぶん、こういう微細な違いを的確にふまえてかつ簡潔なスロヴェニア語の解説をメニューにいちいち記載する必要があるのでしょう。
Sushi Mama さんにはそういう「教育」も担っていただかなければならない。大変ですね。