釣り損ねた魚

たった半年のスロヴェニア滞在だから、アンテナをいっぱいに広げて(そう言えばこれは昔僕がまだ東京でくすぶっていたとき、ドイツへ行ってしまったMの表現だった)、いろいろなものを掴まえなくてはとつねづね思ってはいるのだけれど、旅行者としてではなく生活者としてあるということは日々の雑事の積み重ねになるわけで、これはこれで、ついつい色々なものを逃してしまう。特に逃してシマッたと思うのは年中行事の類い。一度逃したら来年までさようならで、3月には日本に戻らなければならないこちらとしては、改めてそこに来合わせるのは不可能に近い。

この前、「三王のパン」の記事で「チューリヒ日記」が復活していて、それでしまったと思ったのだけれど、1月6日は「三王礼拝の日」だった。なにせクリスト者でもない蕃人としては、こういうのをよく逃す。「チューリヒ日記」に描かれている王様のパン、日本でも店によってはあるというこれは、こちらでも当然手に入ったはずなのだ。後で聞いたら、子供の小学校では出てきたという。こういうブログにはおいしいネタなのに。

秋に、「ワイン」になる直前のブドウ果汁、普通のドイツ語で言う Federweißer、スロヴェニア語で言うモシュト mošt も味わうつもりだった。ところが、生産地に遠いリュブリャーナではこれも目につかなくて、あのふつふつと泡立つ少し濁った酒も逃した。あとで一年前の「チューリヒ日記」を見直したら、10月中旬にこれの記事が出ている。
実は、「ブドウ果汁がワインになる日」の聖マルティンの日の翌週、青空市場に隣接する「スロヴェニア観光局」に行って訊ねた。これから、どこか国内のワイン産地のお祭りはないだろうか、と。回答は予想を超えて素っ気なかった。「あるわけない」。きっぱり。そういうお祭りが聖マルティンなのであり、あの日でブドウ果汁はみんなワインに変わってしまったのだ。うーん、しかしそう言われているにしたって、物理的化学的にほんとにあの一日であらゆる果汁が変化するわけないじゃん。ドイツでは(あまりドイツばかり引き合いに出すのはフェアではないと思うが、たまたま僕の知っている「ヨーロッパ」はドイツが中心なだけだ)、各地のワイン生産地は微妙に時期をずらしてお祭りを行い、それぞれにうまいこと観光客を誘致していたように思うのだが、ここは、商売っ気がないというか、妙に潔癖だ。前のボン滞在の折、リューデスハイムで Federweißer を飲んだのは、記憶もあやふやだけれど、たしか11月ぐらいのことではなかったっけ。

マリボルの聖マルティン祭の様子は Večer 紙のフォトギャラリーで見ることができる。

さて、謝肉祭を含むあと2ヶ月、どれほどのものを掴まえられるだろうか。

コメント / トラックバック2件

  1. t.fuji より:

    モシュトは市場で農家が売っていました。1.5Lペットボトルで。ワイン好きだだと知っていたらお届けしたのですが・・・他にも美味しいスロワイン、在スロ中にお届けしたいと思います。うちも幾らかワイン好きなのです。でも店主の方が数段上のワイン通と伺えますのでご存知のものばかりかな・・・

  2. takuya より:

    市場に出ていたんですか。出ていても不思議はないけれど、見落としたなあ。
    また何か耳より情報がありましたら教えてくださいね。

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