この前の8Pチーズのネタ、ついでにもう一つ。

これはあの「スロヴェニア女」チーズと同じところが作っているもの。子細に眺めると、やはりなかなか興味深いものがあります。
まず名前。Bučko z lučko (ブチュコ・ズ・ルチュコ)というのは、どうも、(タンポポの)綿毛の実を持ったおバカさん、といった意味らしい。

タンポポのこういうふわふわした種が丸く広がった状態のことを、日本語で植物学的には何と言うのか知らないのですが、lučka というスロヴェニア語はとにかくそれを指すらしい。そういうものを、おそらく学術用語ではなくてごく日常的な単語として、すぱっと指す単語が存在しているというのが、まず素晴らしいですね。主格では lučka なのですが、ここは前置詞 z の後で6格になって lučko。そのことによって「おバカさん」 bučko と脚韻を踏んでいるというのも、おそらく重要なポイントです。
さらに、lučka は、同音異義語として、「明かり」という意味もあります。そこまでを踏まえた多義性との戯れであるとすると、この名前はますます文学的なものだと思えてきます。真っ昼間に提灯をともして、うろついて、「何を探しているのか」と訊かれて、「人間を捜しているのだ」と答えたというディオゲネスの姿すら彷彿してくるではありませんか。
そもそもこの「おバカさん」とは誰なのでしょう? 故遠藤周作氏に、もう知る人も少なさそうな、同じタイトルのコメディ小説がありましたが、まさかあの主人公のフランス人、ガストンくんではありますまい。謎です。(クレヨンしんちゃんではありません。あれは「おバカ」です。)
絵柄そのものを丁寧に眺めると、さらに謎は深まります。タンポポの綿毛の柄を持ち、野球帽を後ろ前にかぶり(野球はヨーロッパでは少しもポピュラーではありませんが、野球帽自体はけっこう手に入るだろうと思います)、スケボーに乗った男の子というのは、春先にいかにもありふれていそうな姿です。
しかしその綿毛をよく見ると、タンポポと言うよりは、往年の名作ゲームのパックマンのように見えます。いや、そんな歴史の浅い猪口才なものとは、これは、無縁のはずです。あの、山の作業小屋で作られる大きな円いチーズをカットしたときの形なのではないでしょうか。8Pチーズのうちの1Pを食べた後だ、というのはありそうにありません。7Pをこのような柄の先に付けて、こうした形に維持するのは至難の業であろうと思われるからです。それとも、これはやはり提灯なのでしょうか。いや、提げているのではないから竿燈か。
さらに、これほどシンプルに描かれていながら、なぜ手指の爪はすべてきっちりと描かれているのでしょうか。なぜ靴ひもはしっかりと蝶結びで描き込まれているのでしょうか(僕は自分の靴ひもがこんなふうにきれいに結べた試しがありません)。そして、左の袖には見られない、右袖の中程の不思議な半月形は、ポケットなのでしょうか何なのでしょうか。飛んでいる綿毛は、なぜ一列で、9個でなければならないのでしょうか。
製造元の、このチーズのページ。マイルドな味で、カルシウム分が多いという以外、名前の由来についてなどは、何の説明もありません。
謎は深まるばかり。半日眺めていても飽きない絵柄です。
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綿毛の一列を追いかけてる不思議な丸いやつは何なのでしょうかねw
ええと、その円い中には、ほとんど読み取れないような薄い黄色で、SI, M-150 と書いてあります。こういう商品に付けることが法的に義務づけられた符丁かなにかでしょうか。
ドーメンさんも、この bučko の由来はご存知ありませんか? 何か、スロヴェニアの人なら知っている物語が背後にある、というようなことはないのでしょうか。このチーズメーカーの独創?
いやぁプロセスチーズにはあんまり詳しくないですね…w
ごめんなさい。僕が知ってる限りではこのイラストは何らかの物語とかを基にした作品ではないです。ただ名前の響きが良いということでこう名づけられて、そしたらそれに合うようなイラストを装備された製品ではないでしょうか。
為になれなくてすみません。
いや、物語は無い、ということが確認できればそれでいいのです。どうもありがとうございました。
やっぱり -učko がポイントなんですね。
僕はスロヴェニアのナチュラルチーズについても勉強しなくては…。
んとですね、ちょっとネット調べたところなんですけど、Bučkoという主人公の物語とかがあるらしいですね。イラストが出てないので同じモノかどうか分からないですけど…
そうですね、ナチュラルの方が旨いでしょう?僕は最近Vremščicaで作られる羊乳チーズの旨みを知ってハマってしまいましたw
Takuyaさん、もしかしてそれをご存知でしょうか。
Bučko の物語、読みやすいソースがあったら教えてください。
Vremščica のチーズは知りませんでした。試してみなければ。チーズを扱っている普通の店で置いていますか?
ふむふむちょっと図書館行かなければ分からないですね。とりあえずKEKECという雑誌に連載(?)してあったようですけど。
そしてチーズの話ですけどその本場以外にも売ってるかどうか分からないですけど、一応、普通の店には置いていないですね。
Kekec というのはまたよく知られた民話の主人公ですよね。それをタイトルにした雑誌があるのか。
Vremščica というのはポストイナとシュコツィアンの両鍾乳洞の間の山ですか。今の季節、あのあたりまで行くのはちょっと大変そう。車も持っていないし。
そのとおりです!
僕も車ない…いつも両親が持ってきてくれてます☆
PSlučkaが載りましたねー
今度ご両親が持ってきてくださったら僕にも分けてください。
了解