昨日書いたように、宗教改革記念日に引き続き、今日11月1日も祝日。他のカトリック圏では「諸聖人の日」と呼ばれていたと思うが、ここではどうやら共産主義時代の遺産で「死者を覚える日」、さらに縮めて「死者の日」。B級ホラー映画のタイトルみたいにも聞こえる。要するにお盆のような、お墓参りの日だ。
リュブリャーナの町の北のはずれのジャーレ Žale には、広大な墓地があって、そこまで散歩がてら行ってきた。当然、われわれには参るべき墓があるわけではなく、要するに物見遊山で、いささか不謹慎なようだが、気にしないことにする。
行きは30分ほどの道を歩いていった。いつぞやのシュマルナ山と同じく、目的地に近づくにしたがって四方から人が集まって、墓地はかなりの人出だった。参道というべきか、アプローチの道の両側には何軒もロウソク屋や花屋が屋台を出している。墓に供える花は、日本的に感じられるが、菊が主流のようだ。

墓地の入り口には小さな教会があり、その外壁にそって、無数のロウソクが供えてあった(一番上の写真)。ロウソクは、風よけのたいていは赤い容器に入れられ、空気穴のあいた銀色の蓋がしてある。もちろん、個々の墓にも供えてある。ジャーレの墓地は大きな三角形で、一つの頂点にあたる入り口から入っていくと、奥に行くにつれてどんどん広がっていく。その広大な墓苑の中を、無数のひとびとが静かに行き交っている様は、一種壮観だと言ってもいいぐらいだった。
たいていは、真新しい(更新しているということだろう)、黒大理石の板に、金文字で死者の名前が書かれた墓石。それぞれに意匠がこらしてある。生前の写真が焼き付けられているものもあるし、少し古いものでは聖画像柱の形のものもあった。参るべき墓のないわれわれは、奥の方までまっすぐ歩いて、またまっすぐ戻ってきた。入り口近辺の花屋やロウソク屋の陰には、ホットワインやコーヒーを飲ませたりソーセージを出す屋台もあったし、お菓子の屋台、焼栗屋、綿菓子屋まで出ている。綿菓子一本 500SIT。
朝から鈍色の空のもと、気温は低めで、ホットワイン kuhano vino (300SIT/0.2L) が旨かった。ドイツのグリューヴァイン Glühwein は赤以外考えられない(ドイツでは赤は生産しないから、スペインあたりの産の安い赤ワインが使われる)が、ここではちがって、白ワイン(おそらくスロヴェニア国内産の)に甘みが付けてあった。
墓地の入り口には、プレチニクの設計による壮大な門のような建築があるのだが、そちらは閉鎖されていて、屋台が並んでいた「参道」は、その脇を走っていた。プレチニクの墓も、ここにあるはずなのだけれど、どこなのか分からなかった。
帰路はバスで。墓地付近から市内をぐるっと回ってまた墓地に来る、一種循環路線のような2番のバス。普段より増発されていたようだが、車内は思ったよりすいていた。
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