Traminec トラミネッツ というのは、名前から推測される通り、ドイツの Gewürztraminer ゲヴュルツトラミーナ のスロヴェニア版。日本ではアルザス(フランス)産のものでよくお目にかかる。この品種がワイン通でもない僕らにとって嬉しいのは、誰だってこの香りと味はゲヴュルツトラミーナだとはっきり分かることだ。いかにもブドウらしい、マスカットのような強い香りと、それでいて、甘口のものはもちろん、辛口に仕上げてあってもフレッシュでありながら優雅にまるい味。
ゲヴュルツトラミーナは、1500年ごろにはすでにドイツで栽培されていたというが、古代エジプトまで遡るのだという説もあって、起源はあまりよく分かっていないようだ。栽培は、開花期に強風が吹くとダメだとか、ずいぶん肥沃な土壌でないとダメだとか、案外デリケートで厄介な品種らしい。寝かせておくのには向かない。よほどのプロが繊細な注意を払って保存するのでないかぎり、悪くしてしまう。だから通常は若いものを飲む。
たいていは中甘口から中辛口のレンジだが、甘口〜中甘口の飲み頃温度は8度から10度。これはどちらかというとデザートワイン。中辛口のものは摂氏10度から12度で、ハムや、鱒、鮭などの魚料理に合う。実はトラミネッツ/ゲヴュルツトラミーナは、シナモンの味と香りを引き立てる特質があり、だから「インド・カレーに合う」のだと、たびたび引き合いに出している Wines of Slovenia の著者 Mišo Alkaraj は言っているが、日本のカレーにシナモンって入っていたっけ? いや、カレーは各種香辛料のブレンドなのだから入っていて不思議はないが、少なくとも日本のは別にシナモンの香りが立つということはないよね。(しかし、こだわっているわけではなくて、偶然だけれど、カレーにワインの話はこれで三度目か。)
上の写真のトラミネッツは2004年のものでイェルーザレム・オルモージュ Jeruzalem – Ormož の産、中甘口 polsladko、スーパー Mercator の安売りで740トラル(ユリの花とテーブル、イスは含みません)。400円ちょっと。これでも日本で結構な値段で売られているアルザスの「ゲヴュルツトラミネール」に勝るとも劣らない。
下はラベルの色から「黒トラミネッツ」と呼ばれて、以前からスロヴェニアのトラミネッツを代表する品であるらしい。Radgona の産。こちらは1650SIT(900円ちょっと)。古典的なデザインのラベルの中央上の絵には、Podravje 地域を象徴する鳥除け、クラポテツが描かれている。

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