スロヴェニア・ワインにツヴィチェク Cviček という種類がある。スロヴェニアでは、ブドウの品種名をラベルの真ん中に書いている場合が多く、これもそうかな、と思ったし、ドイツで出版されたスロヴェニア・ガイドブックで、これをブドウの品種であるかのように紹介しているものもある。
実際は、各種のブレンドらしい。14種類のブドウのブレンドだと言われたりするが、多分誇張が入っている。おそらくはそのブレンドのしかたがポイントで、生産者によって違うらしく、それでいて、違う生産者が作ったものでも、ツヴィチェクはツヴィチェクだな、という特徴がある。つまりツヴィチェクというのはどうやらあるレンジのブレンドの仕方の名前だということになるようだ。ツヴィチェク生産者のコンソーシアムは、ツヴィチェクと名乗りうるための23条からなる基準を設けているということだ。白でも赤でもロゼでもなく、ツヴィチェクはツヴィチェクなんだと言う。
名称の起源には諸説あるらしいが、クロアチア語で乳精をツヴィツ cvic と呼ぶことや、ドイツ語のバイエルン方言で酸っぱくなりはじめたミルクのことをゲツヴィックト gezwickt と言うことなどが、関連性がありそうなこととして挙げられている。実際、ツヴィチェクはかなり酸味が強い。
この Cviček の名を付けたワインは、だいたいがドレンスカ Dolenjska 地方、つまりサヴァ川の右岸(南側)からその南のクルカ川の流域にかけての地域で作られている。色は透明度の高いルビーの赤。かすかにオレンジや紫の色合いがまじる。かなり酸味が強めで、軽くてさっぱりした味。アルコール度数も9パーセント台と低い。くだんのドイツ製のガイドブックによれば、暑い日の昼食時に一杯飲むのも悪くない。適量なら、眠くもならず、かえってすっきりする。…というのはアルコール分解酵素をたっぷり備えた連中の言い草だろうな、やっぱり。夕食なら魚にも肉にも合うし、食後の一杯にもいい、そうだ。かなり冷やして飲むのが正解に思える。
ドレンスカ地方で自家消費用に作られることが多いらしく、決して「高級ワイン」ではない。リュブリャーナの鉄道駅の前のバスの中央駅の売店(ワイン専門店ではなく、食料品店ですらない)に置かれているたった二種類のワインの片方は、このツヴィチェクだ。その中でも、奥行きのある仕上がりになっている(ベリー類のようなブーケが豊かだし、full であると同時に light である云々)と評されているのが上の写真の「プレテル」 Pletér ブランド。修道僧の線画が目印。ツヴィチェクにしては高いほうだと思うが、スーパー Interšpar で 969SIT(550円)。
下は、バス駅にも置いてあった、一回り安いもの。1リットル瓶で990SIT。KD (Kmečka zadruga) Krško (クルシュコ農業組合)の製品。コルクではなくてスクリューキャップがついている。そしてこういう製品でも、収穫年、生産番号、アルコール度数などが、背面のラベルにきっちり刻字されている。
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