オーストリアの大学

ドイツの大学に入学試験はない。ギムナジウム(=高校)の卒業試験(アビトゥーア)=大学入学資格試験であって、それに合格しさえすれば、誰でも、どこの大学にでも、原則、入れる。ヨーロッパ諸国の大学は、どこもおおよそ似たようなシステムであるらしい。Abitur にあたるのは、たとえばフランスではバカロレア。これは学生にとってもメリットが大きそうだが、大学関係者としては特にうらやましいシステムだ。膨大な入試業務の負担を免れ、本来の教育や研究に注力できるのだから。日本の「センター試験」というのは、その失敗した類似品だと言える。

それはともかく、このシステムは、ヨーロッパ全体でほぼ同じとはいえ、外国人学生の受け入れに関しては、各国で微妙に違っていたようだ。
それで、EU裁判所が、オーストリアに対し、自国の学生と同条件で外国人学生を受け入れよという勧告を出した。
Österreich muss Unis für Ausländer stärker öffnen | tagesschau.de

オーストリアは、外国人には、出身地の大学の学籍がないと、国内の大学で学ぶ資格を認めなかった。つまりたとえばドイツ人学生は、アビトゥーアは通っていても、いったんドイツの大学に籍を置かなければ、オーストリアの大学で学ぶことはできなかった。

日本人学生の場合は、日本に高校卒業試験=大学入学資格試験というのがないため、日本でとにかくどこかの大学に入りさえすれば、アビトゥーアを取ったものと見なされ、たとえばドイツではあとドイツ語試験に通りさえすれば、あちらの大学に入ることができる。つまり(高校まで日本で過ごした)日本人があちらに行く場合、どのみちなんらかの大学に入ったことをもって入学資格に代えるのだから、関係ないのだが、ドイツでは、アビトゥーアを取りさえすれば大学に入れるとは言え、一部の人気学科(法学、心理学、医学など)にはNumerus claususと呼ばれる定員制限があり、一応アビトゥーアを取っても、成績如何では順番待ちになる。つまり入学資格は持ちながら、大学に入っていない人たちがいるわけだ。そしてオーストリアの、本国の大学に籍を持っていなければ外国人の留学を認めないというシステムは、そういう人たちにとっての障害になるのだった。

もし今回の勧告に従えば、外国の、とくに言語障壁のないドイツの学生が、本国の Numerus clausus を避けて、対応するオーストリアの大学の諸学科にどっと入ってくるのではないか、とオーストリアは戦々恐々としている、ということらしい。

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